2017年01月05日

航空豆知識「季節による気候の変化とフライトへの影響、フライトの方法」その8

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は、「季節による気候の変化とフライトへの影響、フライトの方法」についてヘリコプターの教官がためになる情報をシリーズでお届けします。

季節による気候の変化とフライトへの影響、フライトの方法(その7) ヘリコプターで、WCAをとっているときのイメージ図

飛行間は、吹いている風の状況に応じて、風上側にWCA(偏流修正角)をとっていることをお話しました。ヘリコプターは少し風下側に流されながら進んでいきます。自分の正面を見てヘリコプターの飛行姿勢を安定させながら、自分が地図上にひいた飛行コースを、遠くからでも識別できる地点等(市街地、山、川、橋、湖等)を連ねて地上に仮想の線を設定し、この上空をヘリコプターが飛行するようにWCAを風上側にとって飛行するのです。

文章ではわかりにくいので、一例として下妻ヘリポート上空から群馬へリポート上空に飛行するイメージ図をグーグルマップを使用して作ってみました。

イメージ図1.jpg

状況としては、下妻ヘリポート上空をロビンソン式R22が対気速度75kt(約135km/h)で出発し、右真横から7m/s(約13kt)の風が吹いていて、右に約10度のWCAをとっている状況です。
下妻ヘリポートから群馬ヘリポートに直線(下図の赤実線)を引くと、その延長線上には浅間山(山頂の少し南側になります。)が見えます。冬晴れの日は、くっきり浅間山が見えるので、浅間山に向かい、利根川を南(左)に見て飛行すれば群馬へリポート付近には行けるということです。これに谷中湖(渡良瀬遊水地)の北、太田市北側の山(金山)の少し南(太田市上空といえばよいのですが、下妻ヘリポート上空から太田市は識別できないので、遠くからでもわかる「太田市北側の山(金山)」と表現しています。)を見通すと一本の線が出来ます。この線の上空を飛行すると、群馬ヘリポート上空に到着します。
黄色い線は、機体正面の線です。群馬へリポートへの経路(赤線)からWCAをとって、10度右を向き、機体正面に見える地形等です。機体正面(黄色い点線)には太田市北側の山(金山)のさらに北側(右側)〜榛名山が見えることを示しています。風に流されながら赤い線のコースを飛行することになります。

これを、機内から見える風景のイメージ図にするとこんな感じです。

イメージ図2.jpg

実際に見える風景は、もっとくっきりと見えますが、概ねこんなイメージです。
下妻へリポート上空を出発した時間に、群馬ヘリポートまでの飛行時間(WCAを算出するときに対地速度も出ていますので、飛行時間もわかっています。)を足すことにより、群馬へリポート到着予定時刻もわかります。自分が赤い線の上空を飛行しているかを確認しつつ、時間を確認していると群馬ヘリポート上空に到着します。(機体正面を示す黄色い線は、下妻ヘリポート上空での機体正面の線です。飛行すると榛名山方向から左側にずれ、その時のヘリコプターの位置から右に10度の方向を向きます。)
イメージ図ではわかりにくいところがあると思います。「百聞は一見にしかず」といいますので、御自身の目で飛行して確認してみては如何でしょうか?

今まで読んでいただいた方々、誠にありがとうございました。このシリーズについては、今回をもって終了とさせていただきます。
次の航空豆知識を御期待ください。飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。
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2017年01月04日

航空豆知識「季節による気候の変化とフライトへの影響、フライトの方法」その7

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は、「季節による気候の変化とフライトへの影響、フライトの方法」についてヘリコプターの教官がためになる情報をシリーズでお届けします。

季節による気候の変化とフライトへの影響、フライトの方法(その7) ヘリコプターは、機首方向に進むとは限りません

航空機は、風が吹く(空気が移動している)中を、動かない地上の目的地に向かって飛行しています。このため、自分が地図上に計画したコース上空を飛行するには、あらかじめ風に流されることを予測して、風上側に機首を少し向けて飛行する必要があります。イメージとしては、川を船で渡るときに、対岸の目標地点に船首を向けて進むと、対岸の目標地点より川下側に到着するため、川上側に船首を少し向けて渡っていくイメージです。この自分の計画したコースの方向及び航空機の速度と風向・風速の関係から、あらかじめ風上側にむける角度が決まります。この風上側に向ける角度をWCA(ウインド コレクション アングル:偏流修正角)といいます。航空機は風が全くないときか、真正面又は真後ろからの風を受けているとき以外は、すべてWCAを必要とするのですが、ヘリコプターは一般的に飛行速度が遅いので、同じ風でも飛行機に比べて大きなWCAを必要とします。特に冬は上空の風が強いことが多いので大きくなります。操縦士は飛行前にこれを計算し、飛行しながらその誤差を修正して飛行します。つまり、ヘリコプターは自分の行きたい方向を向いて真っ直ぐ飛行しているのではなく、少し風上側を向いて飛行しているわけです。

また、風の方向によって、地面上を移動する速度(対地速度といいます。)は変わるので、目的地の到着予定時刻も変わります。川を下る船は「船の速度+川の流れる速度」の速度で早く、川を上る船は「船の速度―川の流れる速度」の速度で遅いというイメージです。旅客機でも、日本からアメリカに行くときは、ジェット気流中を追い風状態で飛行するので短時間で、逆にアメリカから日本に戻ってくるときには時間がかかることをご存知の方も多いと思います。

このWCAや対地速度・到着予定時刻の計算方法等は、操縦士の資格を取得する際の学科試験においても出題され、操縦訓練においても重要なので、しっかりと教育されます。最初は若干戸惑う方もおられますが、すぐに理解して短時間で計算できるようになります。自分の能力が向上したと感じられるときです。あなたも経験してみませんか?

操縦席からの目線 撮影:アルファーアビエィション
操縦席から.jpg

次回は「ヘリコプターで、WCAをとっているときのイメージ図」について説明します。お楽しみに。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。
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2017年01月01日

2017年賀正 新春のお慶びを申し上げます。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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