2017年03月07日

航空豆知識 R66シリーズその4

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は、「R66シリーズ」についてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。

R66シリーズ(その4)R66のエンジンについて(ターンビンエンジンPart2)

エンジンを各セクションごとに説明していきます。

エンジン1.jpg

@ まずコンプレッサーですが、一般的なヘリのエンジンのコンプレッサーは、軸流式と遠心式の組み合わせによって空気を圧縮していますが、このエンジンの特徴は、遠心1段のコンプレッサーのみで、洗濯機の底で回転しているセパレーターと同じようなもので空気を圧縮しているので異物の混入やコンプレッサーストールに強い構造になっています。

A 次に燃焼室ですが、250エンジンの特徴である、1個のカン型燃焼機を使用しています。小型で構造簡単、整備性が良好です。

B タービンはN1タービン2段、N2タービン2段です。N1タービンでコンプレッサーを回し、N2タービンでローターを回しています。N1タービンとN2タービンは機械的には繋がっていません。R22はクラッチを装備しており、エンジン始動時は、ローターには繋がっておらず、エンジンが掛かってから、ある程度のエンジン回転になってから、クラッチを繋いでローターを回しますが、このエンジンはフリータービンなのでエンジン始動時にローターが負荷になることはないので、始動がとても容易です。ちなみにNはナンバーの意味です。その他にはNR(ローター回転)があります。

C ギアボックス部ですが、タービンエンジンは回転数がとても高いです。このエンジンのN1回転数は、100%で50970回転で、N2回転は、100%で33290回転です。従ってまずエンジンのギアボックスで回転数を6016回転まで落として、その後メインローターギアボックスで408回転まで落としていきます。R22は、エンジン回転数を2652回転をMRギアボックスのみで530回転まで落としています。

その他、ギアボックス動かしているアクセサリーは、N1ギアトレーンでは、スタータージェネレータ、フュ−エルポンプ、オイルポンプ、GPFC、N1回転計です。N2ギアトレーンでは、トルク計、PTG、N2回転計を動かしています。

GEAR3.jpg

次回は「FUELコントロール」について説明します。お楽しみに。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。
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ヘリコプターの操縦訓練を連日実施する下妻運航所

ヘリコプター免許取得に向けて訓練生が連日頑張る下妻運航所ですが、本日の飛行訓練が終了した後の17時頃に突然空が暗くなり、みぞれ交じりの雨が降りだしました。
その雨雲が抜けた後に筑波山が赤くなり、綺麗な雪化粧を見ることができました。
下妻付近は本日は一日中、上空の高い高度では雪が舞っていました。

日本には海や山など様々な地形があり、四季があり季節によって景色が大きく変わるため、パイロットとして飛行するには、これほど面白い国はないのではないでしょうか。
訓練生は、操縦訓練中であってもこの素敵な景色が目に入ってきて記憶に残るのです。

つくば山の雪景色.jpg
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2017年03月06日

航空豆知識 R66シリーズその3

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は、「R66シリーズ」についてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。

R66シリーズ(その3)R66のエンジンについて(ターンビンエンジンPart1)

R22及びR44は自動車と同じ4サイクルのガソリンエンジンを使用しています。このエンジンはピストン、シリンダー、クランク軸で構成されています。エンジンは水平対向型で、ピストンが左右に動いて吸気、圧縮、燃焼、排気の4行程の間欠燃焼で、爆発力によってピストンを動かしているのでガソリンを使用しています。

R66はタービンエンジンを搭載しており、このガスタービンエンジンは、コンプレッサー、燃焼室、タービン、ギアボックスから構成されています。コンプレッサーで空気を圧縮し、この空気を燃焼室に送り、ここで燃料と空気の混合気に点火し、この燃焼高温高圧ガスでタービンを回転させます。タービンで発生した出力は、1段目のタービンでコンプレッサー、2段目のタービンでローターを回転させます。燃焼は、連続燃焼で一度着火すると継続的に燃焼を行うので、灯油系の燃料を使用しています。

タービンエンジンは、小型軽量ですが、大きなパワーを持っています。(R22の重量は約131kgで145馬力、R66は、約91.2kgで300馬力です。)またピストンエンジンのような往復運動ではなく、タービンの回転運動なので、エンジン振動がほとんどありません。乗り心地は抜群です。

R66のタービンエンジンは、ロールスロイス式250−C300A1型で商品名RR300というフリータービン式のターボシャフトエンジンです。自衛隊のOH6やジェットレンジャーと同系列のエンジンで、リバースフローにより小型化しています。

ロビンソン式R66型のエンジン.jpg

もう一つの特徴が、エンジン始動時の最も怖いホットスタート(熱くなりすぎてタービンが溶けてしまう)の可能性がとても低くなっています。これはエンジン始動時にスタートボタンを離してしまうことによるホットスタートで、R66は一度スタートボタンを押すとその状態を保持して自立回転数になるまでその状態が維持されるので、ホットスタートの危険性が少なくなっています。この機能は我々パイロットにとってとても助かっています。エンジン始動時にスタートボタンを押すと、キュイーンというコンプレッサーが回転する小気味良い音とともに着火したときの音が何とも言えません。

エンジンのパワーは300馬力で、機体搭載時連続最大出力で224馬力、5分間離陸出力で270馬力です。ヘリとしてはあまり馬力がないような数値ですが、5分間出力で上昇すると2000ft/m(1分間に2000ft上昇)を振り切りますよ。VNE(超過禁止速度)も140ktとスピード感があるヘリです。下妻ヘリポートから仙台空港 まで125nmで54分で着きます。

次回も引き続き「R66のエンジン」について説明します。お楽しみに。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。
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