R66シリーズ(その7)トルク計
エンジンのパワーを測定するトルク計について説明しましょう。
R66の出力計は、トルク計を使用しています。これは、ローターを回転させている出力軸のねじりの力、すなわち、エンジン出力軸そのものの力を計っているので、高度や気温によって変化することなく、連続最大出力(MCP)や離陸出力(TOP)時に使えるパワーは常に一定になります。(R66のMCPは83%、TOPは100%です。)
トルクメーターは、アクセサリギアボックス・パワータービンギアトレーン内にあり、エンジンの軸出力(馬力)に正比例する油圧信号を示しています。 このトルクメーターは、油圧式測定システムで、トルクメーター、ピストン内に閉じ込められた高圧油がパワーギアトレーンでヘリカルギアによって作られた機械的な軸方向の力(ピストンのスラスト)によってピストン内の高圧油が移動し、油圧としてパーセンテージでトルクメータに表示されます。
出力が安定している状態でトルクメーターピストンに働いている軸方向の推力は、ピストンチャンバー内のトルクメーターオイルプレッシャーと同じ状態になっています。 パイロットが出力を上昇させて、エンジンの出力が増大させ、トルクがかかると、ヘリカルトルクギアが前方に移動し、ボールベアリングを介して、ピストンにかかる軸方向スラストを増加させ、ピストンは少し前方に移動します。 ピストンが前方に移動すると、ピストンへの油道が開き、オイルチャンバー内へオイルが流れ、オイルチャンバー内の圧力が増加します。 従って、ピストンチャンバー内のオイルプレッシャーが、ピストンに作用する力にまで増大し続けると、トルクメーターギアからの軸方向のスラストと等しくなり、ピストンは止まり、オイルチャンバー内の圧力は、エンジントルクに比例している状態になります。 トルク計は、この油圧を電気信号に変えて表示しています。
仕組図
この図は、トルク計の略図です。分解しているのでよりわかりやすいと思います。ヘリカルギアの爪がボールベアリングにかかっているのが解ります。
万が一エンジンオイルに不具合が生じた場合は、トルク計は正確な値を示しません。 なお、チャンバーにはボールベアリングとの間にノズルがあり、このノズルからボールベアリングにオイルを送り、ボールベアリングを潤滑しています。
ちなみにピストン機の出力計は、吸気管の圧力を計って計器に表示してる圧力計なので、高度や気温によって空気量が変化するので、飛行高度及びその際の気温をチェックして、使用できる出力を見ています。
次回は「潤滑、ハイドロ系統」について説明します。お楽しみに。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。