2017年04月25日

航空豆知識 R66シリーズその7

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は、「R66シリーズ」についてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。

R66シリーズ(その7)トルク計

エンジンのパワーを測定するトルク計について説明しましょう。

R66の出力計は、トルク計を使用しています。これは、ローターを回転させている出力軸のねじりの力、すなわち、エンジン出力軸そのものの力を計っているので、高度や気温によって変化することなく、連続最大出力(MCP)や離陸出力(TOP)時に使えるパワーは常に一定になります。(R66のMCPは83%、TOPは100%です。)

トルクメーターは、アクセサリギアボックス・パワータービンギアトレーン内にあり、エンジンの軸出力(馬力)に正比例する油圧信号を示しています。 このトルクメーターは、油圧式測定システムで、トルクメーター、ピストン内に閉じ込められた高圧油がパワーギアトレーンでヘリカルギアによって作られた機械的な軸方向の力(ピストンのスラスト)によってピストン内の高圧油が移動し、油圧としてパーセンテージでトルクメータに表示されます。

出力が安定している状態でトルクメーターピストンに働いている軸方向の推力は、ピストンチャンバー内のトルクメーターオイルプレッシャーと同じ状態になっています。 パイロットが出力を上昇させて、エンジンの出力が増大させ、トルクがかかると、ヘリカルトルクギアが前方に移動し、ボールベアリングを介して、ピストンにかかる軸方向スラストを増加させ、ピストンは少し前方に移動します。 ピストンが前方に移動すると、ピストンへの油道が開き、オイルチャンバー内へオイルが流れ、オイルチャンバー内の圧力が増加します。 従って、ピストンチャンバー内のオイルプレッシャーが、ピストンに作用する力にまで増大し続けると、トルクメーターギアからの軸方向のスラストと等しくなり、ピストンは止まり、オイルチャンバー内の圧力は、エンジントルクに比例している状態になります。 トルク計は、この油圧を電気信号に変えて表示しています。

仕組図
トルク計.jpg

この図は、トルク計の略図です。分解しているのでよりわかりやすいと思います。ヘリカルギアの爪がボールベアリングにかかっているのが解ります。

万が一エンジンオイルに不具合が生じた場合は、トルク計は正確な値を示しません。 なお、チャンバーにはボールベアリングとの間にノズルがあり、このノズルからボールベアリングにオイルを送り、ボールベアリングを潤滑しています。

ちなみにピストン機の出力計は、吸気管の圧力を計って計器に表示してる圧力計なので、高度や気温によって空気量が変化するので、飛行高度及びその際の気温をチェックして、使用できる出力を見ています。

次回は「潤滑、ハイドロ系統」について説明します。お楽しみに。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。
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2017年04月24日

−号外− またまたパイロット誕生。実地試験合格が続きます!

やった! また一人ヘリコプターパイロットが誕生!

自家用操縦士実地試験合格114.jpg

ヘリコプター免許取得に向けて訓練生が頑張る下妻運航所で、ロビンソンヘリコプターR22により自家用操縦士の実地試験が本日行われ、見事合格しました。
おめでとうございます。

「やりました! ありがとうございます。
 将来は海上保安庁で海難救助により人の役に立つ仕事をしたいです。
 次は事業用操縦士の免許取得に向けて頑張ります!」
 と、試験後に喜びいっぱいの感想を話してくれました。

夢のプロパイロットまでもう一息です。
スタッフ一同でサポートします。頑張りましょう。

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2017年04月22日

航空豆知識 R66シリーズその6

当校の飛行機とヘリコプターの飛行教官、整備士がお届けする大好評の航空豆知識。今回は、「R66シリーズ」についてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。

R66シリーズ(その6)燃料系統

今回は燃料系統について説明していきましょう。

燃料タンクは、プラダー式(積層ゴム)耐衝撃燃料セルで出来ています。供給はR22と同じく重力式により、エンジンに燃料を供給します。タンクの形状は、凹型で左側の方がやや大きくなっています。(右側は荷物室があるため小さくなっています。) 左右のベントは、相互に連結されており、マストフェアリングの内側で2本の管からベントしています。 重量重心表で、燃料が満タンの時の前方限界が設定されていて、前傾が大きくなると、ベントラインが燃料で詰まり、燃料が供給されなくなるために設定されています。

重量重心表
重量重心表.jpg

使用燃料は、灯油系のジェット燃料を使用しています。燃料タンクの容量は全容量74.6gal(282リッター)、使用可能量73.6gal(279リッター)で燃費は、MCPで23gal/h(87リッター)で3時間10分の飛行が可能です。(実績として、通常の限定変更の訓練では、約80リッター/hで約3時間30分の訓練が可能でした。)

燃料計は、フロート式のトランスミッター、LOW FUELは、マグネット式センサーで、使用可能燃料の残量が約5galで巡航出力で約10分間ほどで燃料切れになります。 燃料は、燃料タンクからラインを通ってエンジンのフィルターを備えた燃料ポンプアセンブリに供給されます。

燃料はジェット燃料を使用しています。発熱量が大きく、すすの発生が少ないです。 周囲温度が4℃未満では凍結防止添加剤を添加しなければなりません。添加剤の代わりに航空ガソリンを入れて一時的に運用出来る場合がありますが、R66は認められていません。

次回は「トルク計」について説明します。お楽しみに。 飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。

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