季節による気候の変化とフライトへの影響、フライトの方法(その7) ヘリコプターで、WCAをとっているときのイメージ図
飛行間は、吹いている風の状況に応じて、風上側にWCA(偏流修正角)をとっていることをお話しました。ヘリコプターは少し風下側に流されながら進んでいきます。自分の正面を見てヘリコプターの飛行姿勢を安定させながら、自分が地図上にひいた飛行コースを、遠くからでも識別できる地点等(市街地、山、川、橋、湖等)を連ねて地上に仮想の線を設定し、この上空をヘリコプターが飛行するようにWCAを風上側にとって飛行するのです。
文章ではわかりにくいので、一例として下妻ヘリポート上空から群馬へリポート上空に飛行するイメージ図をグーグルマップを使用して作ってみました。
状況としては、下妻ヘリポート上空をロビンソン式R22が対気速度75kt(約135km/h)で出発し、右真横から7m/s(約13kt)の風が吹いていて、右に約10度のWCAをとっている状況です。
下妻ヘリポートから群馬ヘリポートに直線(下図の赤実線)を引くと、その延長線上には浅間山(山頂の少し南側になります。)が見えます。冬晴れの日は、くっきり浅間山が見えるので、浅間山に向かい、利根川を南(左)に見て飛行すれば群馬へリポート付近には行けるということです。これに谷中湖(渡良瀬遊水地)の北、太田市北側の山(金山)の少し南(太田市上空といえばよいのですが、下妻ヘリポート上空から太田市は識別できないので、遠くからでもわかる「太田市北側の山(金山)」と表現しています。)を見通すと一本の線が出来ます。この線の上空を飛行すると、群馬ヘリポート上空に到着します。
黄色い線は、機体正面の線です。群馬へリポートへの経路(赤線)からWCAをとって、10度右を向き、機体正面に見える地形等です。機体正面(黄色い点線)には太田市北側の山(金山)のさらに北側(右側)〜榛名山が見えることを示しています。風に流されながら赤い線のコースを飛行することになります。
これを、機内から見える風景のイメージ図にするとこんな感じです。
実際に見える風景は、もっとくっきりと見えますが、概ねこんなイメージです。
下妻へリポート上空を出発した時間に、群馬ヘリポートまでの飛行時間(WCAを算出するときに対地速度も出ていますので、飛行時間もわかっています。)を足すことにより、群馬へリポート到着予定時刻もわかります。自分が赤い線の上空を飛行しているかを確認しつつ、時間を確認していると群馬ヘリポート上空に到着します。(機体正面を示す黄色い線は、下妻ヘリポート上空での機体正面の線です。飛行すると榛名山方向から左側にずれ、その時のヘリコプターの位置から右に10度の方向を向きます。)
イメージ図ではわかりにくいところがあると思います。「百聞は一見にしかず」といいますので、御自身の目で飛行して確認してみては如何でしょうか?
今まで読んでいただいた方々、誠にありがとうございました。このシリーズについては、今回をもって終了とさせていただきます。
次の航空豆知識を御期待ください。飛行機免許、ヘリコプター免許にご興味のある方はアルファーアビエィションまでお気軽にお問い合わせください。